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徹底考察『神様ゲーム』結局どっちがミチルちゃんの◯◯◯?|5000字超え

徹底考察『神様ゲーム』ミチルちゃんの共犯者は誰?
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まず先に言っておきますが、

私はこの『神様ゲーム』という小説が嫌いです。

それなのに感想記事を書いたり、本編を3回も読んで考察記事を書いているのはなぜなのか。

それはもちろん知りたいからです。

どっちがミチルちゃんの◯◯◯だったのか?

いや・・・

どっちがミチルちゃんとエッチしたのか。

気になって夜も眠れません。ということで考察を始めます、レッツ出動!

この後は麻耶雄嵩さんの小説『神様ゲーム』の重要なネタバレがあります。



結論「ミチルちゃんの共犯者は誰だったのか?」

結論から言うと、

「お父さん」と「お母さん」のどちらも共犯者の可能性があります。

なんだそれはってお怒りですよね、わかります。でも仕方がないんです。3回読みましたから。それが答えなんです。

しかし。

個人的にはどちらが共犯者かは当たりをつけています。

それは「お母さん」です。

その根拠を書いていきたいと思います。

考察する上での大前提

まずはこの小説の大前提をおさらいしておきましょう。そうしないと答えを導き出せないですしストーリーの根底が崩れてしまいます。

そいうことで大前提がこちら

・鈴木太郎(神様)の言っていることは全て本当のこと
・ミチルちゃんの共犯者は芳雄の「お父さん」か「お母さん」

まず、この神様が実は嘘で「神様なんていなかった」という話になるともう色々収集つきません。なので彼の存在や言葉は全て「真実」として考えます。

そして、ミチルちゃんの共犯者は芳雄の「お父さん」か「お母さん」です。

あのお母さんの死が天誅とか関係なく「芳雄の吹く力が強すぎてたまたま燃えちゃいました」とか笑えませんから。

なのでこの大前提があるという上での考察です。

世間的な考察

他の人の考察や感想、Amazonのレビューなんかを読んでみると、ラストに関しては大きく分けて2種類の捉え方があるようです。

1:芳雄の推理通り、共犯者は「お父さん」

芳雄の推理通り。

実は隠れてミチルちゃんとエッチをしており、英樹の死に対して偽装工作を行った。

芳雄が神様に天誅をお願いしたのに、お父さんではなくお母さんが死んでしまったのは「天誅=死」というわけではないから。

お父さんにとって大切な人(お母さん)を奪う。それがお父さんに与えられた天誅だった。

2:天誅が下った「お母さん」が共犯者

シンプルに「天誅によって死んでしまった」ということが共犯者の証拠。

ミチルちゃんとエッチ=共犯者は男性、というミスリード。

実際はミチルちゃんとお母さんがエッチな関係性にあり、英樹の死に関する偽装工作を行ったのはお母さん。

はたしてどっちが正しいのでしょうか?

共犯者が「お父さん」だった場合

共犯者がお父さんだったと仮定した場合、その仮定を裏付けられそうな事実を書いていきましょう。

・小出町で捜査中(つまり隠れてミチルちゃんと密会できる)
・ミチルちゃんが「芳雄のお父さんに電話しよう」と促した
・芳雄たちを事件現場に戻らせた
・他の警察官が来る前に現場を好き勝手荒らした

この中で特に注目すべきは「他の警察官が来る前に現場を好き勝手荒らした」ことでしょう。

素人の私ですら『そんなに勝手に事件現場をいじっちゃっていいの?』と思いました。

その中でも最も怪しかったのは井戸の中から英樹を出すシーン。

今日学校で見たままの姿で、英樹は井戸から現れた。そのままゆっくりと地面に横たえる。父さんは濡れた白手袋を外すと、井戸の縁に落ちていたえんじ色の帽子を拾い上げ、英樹の頭の脇に静かに置いた。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

いや、手袋外しちゃってますやん。

いくら濡れたからって手袋を外して素手で現場にあるものをベタベタ触りますか?しかも父親は殺人事件を担当している刑事。普通こんなミスはしないでしょう。

ということは、わざと外して後で指紋が出た時の「言い訳」にしたと思えるわけです。

ちなみに「芳雄たちを本当に英樹が死んでいるかの確認のため事件現場に戻らせた」ことに怪しいと言っている人もいました。

しかしこれはある意味当然のようにも感じます。共犯者じゃなかったとしても確認に戻らせたように思います。

なぜなら「死んでる」と言っているのは10歳の子供だからです。所詮子供の言っていることですからね。「もう一回ちゃんと見ろ」という指示はそこまでおかしいこととは思えません。

共犯者が「お母さん」だった場合

今度は逆に共犯者がお母さんだったと仮定した場合、その仮定を裏付けられそうな事実を書いていきましょう。

・何度も「お母さんは体が小さい」という描写が出てくる
・天誅によって命を落としている

この『神様ゲーム』では何度か「母親の体が小さい」とわかる描写が出てきます。

例えば・・

母さんもそれを知っているので、いつもなら何回りも体の大きい父さんを圧倒するような声を張り上げるのに、今回はすごく小さい。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

また最後のシーンでは・・

しかし足許では、炎に包まれた母さんが小さな躰をのたうち回らせながら、熱さや痛みで悶え苦しんでいる。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

お父さんより何回りも体が小さいようです。

実はお母さんは普通サイズで、お父さんが3メートルぐらいある可能性もありますが、それはそれで怖過ぎるのでスルーします。

お母さんが小さいことで、あるトリックが可能になります。そのため、体が小さいという事実は非常に重要なのです。

ここから「やはりお母さんが共犯者だったのでは?」と思える理由を発見しましたので紹介していきます。



お母さんが共犯者だと思う理由

「お母さんが共犯者だった説」を裏付けしてくれそうな描写が4つありました。

・事件当日の居場所
・ミチルちゃんからの電話
・お見舞いでのタイミング
・井戸の蓋のトリック

考察として順に紹介します。

事件当日の居場所

英樹が殺されてしまった日、つまり共犯者が学校をサボったミチルちゃんと会おうとしていた日です。

この日、お父さんにもお母さんにも「どこで何をしていた」という情報は書かれていません。

しかし、その日の芳雄の行動から「お母さんは家にいなかった」と推測できる描写が出てきます。

仕方なく放課後は真っ直ぐ下校し、気晴らしにひとりでTVゲームをしていると、ケータイに孝志から電話が掛かってきた。
(中略)
ゲーム機の電源を消すと、ぼくは急いで外へ出た。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

作中で芳雄のお母さんはなかなかの「過保護な母親」だと読み取れます。また「猫殺し」の事件があってから保護者には注意を促す連絡紙が何度も配られていたことも書かれています。

そんな母親が家を飛び出していった息子に何も言わないはずがありません。

会話のシーンを省いただけ、という可能性もありますが、「その時お母さんは家にいなかった=ミチルと密会中」とも推測できます。

ミチルちゃんからの電話

猫殺しの犯人を捕まえるために、世話をしていた野良猫ハイジの首輪を提供することになったミチルちゃん。

事件があった日の前日、わざわざ芳雄にだけ「ハイジの首輪を光一に渡した」と電話をしています。芳雄はケータイを所持していますが、

この報告の電話は「家電話」にしていることが推測されます。

なぜか。それは芳雄が孝志からきた連絡がケータイだったことに珍しく思っているシーンがあるからです。

いつもは家電話なのに、ケータイに掛けてくるなんて珍しいなと思いながら出ると、「いますぐ本部に来い」と緊迫した声が聞こえてきた。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

同性の友人ですら普段ケータイに連絡しないのであれば、ミチルちゃんとケータイで連絡を取り合う仲でもないでしょう。

じゃあなぜミチルちゃんはわざわざ芳雄の家電話に電話をしてきたのか?

それは「密会」について連絡してきたと推測できます。その次の日がまさに事件が発生した日で、ミチルちゃんと共犯者が会っていた日だからです。

もし共犯者が芳雄のお父さんだったらお父さんのケータイに電話するでしょう。

家に電話する理由は芳雄のお母さんに連絡を取るためだった、と推測できます。

お見舞いでのタイミング

ミチルちゃんの死後、入院してしまった芳雄。そこに孝志と光一さんがお見舞いに来ます。

その際に芳雄は「裏庭にあった井戸の蓋に人が隠れられるのではないか?」という推理を披露しようとするのです。

しかしそのタイミングにちょうどお母さんが入室してきて話が中断となってしまいます。

これはお母さんが共犯者で、実際にそこに隠れていたため、その話をされるのが危険と判断。タイミングを見計らって止めた、と推測できます。

井戸の蓋のトリック

芳雄とミチルちゃんが気づいた「裏庭に隠れていた犯人の隠れ方」

それが井戸の上に置いてあった蓋(フタ)の下に隠れる、というものです。

作中では、このタライ型の蓋は意外と大きく、人が隠れることも可能だと芳雄も言っています。

井戸の蓋はぼくなら余裕で、巨体の孝志でもなんとか隠れられるサイズだった。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

芳雄いわく、孝志は10歳ながら「中学生なみの体躯」と言われています。

こちらの参考サイトによると、10歳(男子)の平均身長は139センチです。

そして中学生になると、13歳(男子)の平均身長は160センチです。

仮に孝志が160センチ前後だとし、それでもギリ入れる大きさだとしたら「体が小さいお母さん」ならば余裕で入るでしょう。

元ミニモニの辻ちゃんも余裕で入るわけですし、辻ちゃんは立派なお母さんですから。

そして実際にお母さんが共犯者で井戸の蓋に入っていたとしたら、芳雄がそれに気づいた時のミチルちゃんのリアクションも変わって見えてきます。

「うん、きっとそうだ」
そう答えると、とたんにミチルちゃんの顔が凍りつく。
(中略)
「運が良かったのね。わたしたち」
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

芳雄はミチルちゃんが「蓋の中に殺人犯がいたかも?」という恐怖で顔が凍りついた、と思っていました。

しかし実際は、芳雄に気づかれたことで「ヤバい、バレるかも」という恐怖で凍りつき、「運が良かったわたしたち」というのは探偵団のことではなく、自分と共犯者(お母さん)のことだったと推測できるのです。

この4つの推測、そして何より神様により天誅を下されたことから・・・

ミチルちゃんの共犯者はお母さん

と考えることができるのです。

本当に「天誅=死ではない」なのか

しかし読者の中には『いや父親が共犯者だ!』という人もいるでしょう。

先ほども少し取り上げた通り「お父さんにとって大切な人(お母さん)を奪う=天誅」と考えれば、確かに理に適っている考察だと思います。

しかし私の考えはNOです。

今回の神様こと鈴木太郎は「お前に慈悲はないかんか?」「君、本当は悪魔じゃない?」と思えるほど純粋ゆえの残酷性がありました。

子供たちの目の前で少女を串刺しにする、家族の前で母親を生きたまま炎で燃やす、といった残虐性です。

なんならこの神様のせいで「時計の点検業者」という、とんでもない流れ弾天誅を喰らった企業すらあります。

そんなある意味「何も考えていない神様」がわざわざ「芳雄のお父さんにとっての天誅はこれだ」と考えて実行するでしょうか?

しないでしょう。サッと命を奪って終わりのはずです。

ということで、やはりお母さんが共犯者だと思うのです。

共犯者はお母さん

考察をまとめます。

最初にお伝えした通り、私の考察では共犯者はお母さんです。

基本的な推理は芳雄が考えた通りです。

・ミチルとお母さんの密会を英樹に見つかり、ミチルが殺害。

・ミチルが英樹の服を着て家に着替えに行っている間、お母さんは鬼婆屋敷にステイ。

・ミチルが見つかってしまい、子供たちが鬼婆屋敷に集合。ミチルも英樹の服を持って集合。

・お母さんは英樹を井戸に入れ、井戸の蓋に隠れる。

・子供たちが裏庭に行って井戸の中で英樹を発見。そのドサクサに紛れて、ミチルは居間に英樹の服を置いておく。

・ミチルが怖がるフリをして全員で外へ。その間にお母さんは蓋から出て、居間にある服を英樹に着せる。

・開かずの部屋で待機し、子供たちが井戸の中を再確認している間に脱出。家に帰宅。

これにて無事脱出できたお母さんでしたが、神様にはバレていた。芳雄の勘違いのお願いにより天誅を下されてしまったというわけです。

ふースッキリしました、ここまで読んでくださりありがとうございました。

いやー、まさかこんな結末だったなんて思ってもみませんでした。

てっきりお父さんがクソ変態オヤジかと思っていましたが、すっかり騙されて・・・

いやいやちょっと待て

あれ。おかしい。

ここまで書いていて重大な事実に気づいてしまいました。

お母さんを共犯者とした場合、絶対に不可能なことがありました。

どうやって井戸から英樹を出したんだよ。

さっきの推測という名の考察ですと、

お母さんは英樹を井戸の中に入れ、みんなに目撃させた後、井戸から英樹を出して服を着せて、そしてまた井戸に入れる

というパワームーブをかまさなきゃいけません。これは絶対無理な気がします。

実際にお父さんが英樹を引き上げる際に、足を芳雄と孝志に抑えてもらっています。ひとりじゃバランス的に厳しいのでしょう。

「他に外傷はないし、とりあえず英樹君を引き上げよう。孝志君、芳雄と二人でおれの足を支えてくれ」
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

お母さんよりも何回りも体の大きいお父さんでこれです。

井戸に入れるだけならまだしも、水で濡れてさらに重くなった10歳の少年を引き上げる。

これは蓋の下に入れてしまうようなミニモニお母さんなら無理です。

たぶん辻ちゃんも無理です。

こうなると結局共犯者はやはり「お父さん」ということになります。

やはりミチルちゃんとエッチしていたのはクソ変態オヤジでした。

このオヤジに天誅が下らないとは許せないですね。

ダビレンジャー、ジェノサイドロボでやっちゃってください。




結論

さまざまな要因を考えた結果、共犯者は「お父さん」となりました。

しかし小説の最後。

天誅がお母さんに下った時に芳雄はこのように言っています。

ただひとつだけはっきりしていることがある。それはこれが神様の天誅の結果であり、神様は間違えないということ。
麻耶雄嵩. 神様ゲーム (講談社文庫)

この言葉を鵜呑みにし、神様が間違えずに「共犯者に天誅を下す」と約束を果たしたのならばやはり共犯者は「お母さん」です。

ということで、私が最初に書いた結論。

「お父さん」と「お母さん」のどちらも共犯者の可能性があります。

7時間49分かけて書いた結果がこれです。そしてこれが答えだと思っています。

つまり作者の麻耶雄嵩さんは、「お父さん」と「お母さん」のどちらも可能性がある、という終わり方にしたということです。

答えがないことが「答え」。

だからこの小説が嫌いなんです。

このままじゃ悔しすぎるので『神様ゲーム』再読します。地獄の4回目です。

みなさま、いってきます。

もし『神様ゲーム』読んで誰が共犯者だったかわかった方、ぜひコメントください。

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