吐きそう。終始、著者の浅倉秋成さんの手のひらで転がされ続けて吐きそう。という読書感想文です。
「六人の中から一人の内定者を決める」。そんな最終選考の場に現れた封筒の中身とは?
浅倉秋成さんの書いた「就活×ミステリー」の新感覚青春小説、「六人の嘘つきな大学生」
これは立派なミステリーです。展開が読めません。これは売れるのもわかる。
ちなみに実写化されるそうなんで、
就活スーツ着て見に行きます。
2024年の秋に実写映画化決定
今年の秋に実写映画化が決定したようです。
キャストはまだ未定、とのこと。
決定しました、浜辺美波ちゃん出ます。嘘つきの浜辺美波ちゃん出ます。
はたして結末を知ってしまっている人にも楽しめるのでしょうか?
これは結末知ってても楽しめます、浜辺美波ちゃんが就活スーツで嘘つくからです。
期待してます。
『六人の嘘つきな大学生』感想
この小説を2日間で読み切りましたが、その2日間コロッコロでした。
もう浅倉秋成さんの手の上で転がされまくり。人間不信とはこのことです。
読んだのはお正月休み中でしたが、「休み中で良かった」と心から思いましたね。
会社にいたら人事部のやつの頭を引っ叩いてたと思います。なんとなく。
どのように転がされたかというと・・・こんな感じです。
読み始め ───
うーん、すごい立派な大学生だな。さすが優秀。
みんなそれぞれに良いところがあって、無いところを支え合っている。
特にみんなのギスギスした雰囲気を「うまい棒」を使って柔らかくした袴田くん。そういうの、社会に出てからもすごく大事だからね。
そして嶌さん、健気でいい子だなぁ。ジャスミンティー飲んでるところがいいですよね。
ミルクティーじゃなくてジャスミンティー。甘すぎるとアレだしね。
波多野くん、うまくいくといいね。
封筒開封後 ───
このクソガキども。
嘘ばっかりじゃねーか。いい加減にしろ。
特にイジメで自殺に追い込んだ袴田くん。いや、袴田。
お前最悪だぞ。しかも死んだ相手のことをクズ呼ばわりして。そういうの最悪だからね。
いやキャバクラはいいよ。人に迷惑かけてないし。
恋人に妊娠させて中絶も・・そこに愛はあったんか?いや、それが「ある」か「無い」かで全然変わってくるよ。
ってお前は詐欺グループの一員ってか。
もう嶌さん意外は全員帰れ。
インタビュー後 ───
いやコイツら…全然反省してないじゃん。なんなんだよ。
公園で子供に怒鳴るわ、障害者用の駐車エリアに停めるわ、詐欺にあった人に対して「自業自得」とか…
クズばっかりでおじさんビックリしちゃったよ。
そして…嶌さん。君が犯人だったの? で、波多野くん亡くなっちゃったの??
じゃあやっぱり全員クズじゃねーか。何がジャスミンティーだよ。
もう全員帰れ。
小説読了後 ───
皆様。この度は、誠に申し訳ございませんでした。
──という流れでした。
多分この小説を読んだ人のほとんどが同じような感じだったと思います。
このストーリーの構成と、徐々に改修されていく伏線。最高でしたね。
結局犯人だったのはイケメンの九賀くんだったわけですが、彼の言っていることがこの小説のキモだったようにも思います。
「就活」というイベント。雇う側も雇われる側も「嘘」で塗り固められた異常な空間。
私生活ではこんなにクズなのに、なぜ最終選考に選ばれるのか?
本当はとても優秀な人材なのに、なぜ落選してしまうのか?
「人を見極められるわけがないのに、人を見極められますみたいな傲慢な態度」っていうのはよくわかります。
これは面接を受けた人は感じたことありますからね。
人事経験、あります
私事ですが。
実は自分も以前、人事部に在籍していました。そこで採用試験の面接官としてに参加していました。
「人を見極められますみたいな傲慢な態度」を取っていた側なんです。
そんな人事部の採用担当として正直に言いますが・・・
見極められませんよね。普通に。
そんな数十分で相手を見極めるなんて無理だし、面接受ける側も「良い顔しようとしてる」し、面接する側も「良い顔しようとしてる」し。
面接なんて本当によくわからないし、嫌なものですよね。圧迫面接なんてあり得ないです。誰だよ考えたヤツ。
ただ1つ言わせてもらえば、
「あまりにダメな人」だけは見分けられるようになります。
もう常識とかマナーとか、それ以前の問題。明らかに「コイツは違う」って人も面接に来たりします。
面接に来ているということは書類上では問題ないのですが、会ってみたらビックリパターンです。
なので採用担当者ができることは「書類上問題ない人から絶対に人としてダメな人を省く」ぐらいしか出来ないように感じますね。
もちろんそれだけだと、候補者がたくさん残ってしまうので・・・それが難しいところですが。
個人的な考察
犯人だったのはイケメンの九賀くんだったわけですが、私はずっと違う想像をしていました。それは・・・
あの6つの封筒は、スピラリンクスが用意したもの
と推理していたわけです。
そのように推理した大きな理由があるわけでないです。
しかし就活生がお互いを探り合ってることの裏をとり、実は犯人は「スピラリンクス」だった、と推測したわけです。
そして本文にて以下の内容も引っかかった原因です。波多野くんが「自分が犯人だった」と言い、ディスカッションルームを出た後のシーンで、
鴻上さんは去り際の僕に何か言おうとしたが、開いた口をすぐに閉じてしまった。よくもグループディスカッションをめちゃくちゃにしてくれたな─罵られても不思議ではないと予感していたのだが、鴻上さんさんはついに何を言うこともできなかった。
浅倉秋成 著「六人の嘘つきな大学生」角川文庫
このシーン。波多野くんは、自身の勝手な推測で『怒られるんじゃないか?』と言っていましたが、これは逆だと思ったわけです。
本当はあの状況で鴻上さんはネタバラシをしたかった。でもそれはまだ出来ないと判断したため、口と閉ざしたのではないか?と。
「そういう展開なんでしょ?浅倉先生。俺にはそのトリック、通じませんよ?」
って思ってニヤニヤしながら読んでたんですけど、結果は全然違いました。
この自分の浅はかさ。スピラリンクスに応募していたら確実に「書類選考」で落ちていたでしょう。
刺さった一言
日本国民全員で作り上げた、全員が被害者で、全員が加害者になる馬鹿げた儀式です。
浅倉秋成 著「六人の嘘つきな大学生」角川文庫
結局仕事なんて一緒に働いてみないとわかりませんからね。難しいです。
ただ、「部屋に入るときノックは3回」とか、「封筒は白じゃないとダメ」とか…
この辺の「マナー」とかいう常識に関しては、バカかよって思いますよね。
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